肩も腰も膝も、痛くなっても「そのうち治る」で済ませがちです。実際その多くは治ります。

ただし中には、待っている間に手遅れになるものがあります。問題は見た目がふつうの痛みと変わらないこと。だから線引きを知っておく必要があります。

部位ごとに、受診を考えるサインを整理します。

この記事は一般的な情報の整理であって、診断ではありません。ここに当てはまらなくても、痛みが続いて困っているなら受診してかまいません。「大したことないと思われたら恥ずかしい」と考えて我慢する必要はまったくありません。

痛みで病院に行く目安|部位を問わず共通する5つのサイン

どこの痛みでも、次のどれかがあるなら受診を考えてください。

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サイン なぜ目安になるか
安静にしていても痛む・夜中に痛みで目が覚める 使いすぎによる痛みは、休めば軽くなるのが基本。休んでも引かない痛みは別の原因を考えます
発熱をともなう 感染や炎症が起きている可能性があります
しびれる・力が入らない 神経が関わっているサインです
心当たりのない体重の減少がある 全身の病気が背景にあることがあります
転んだ・ぶつけたあとから痛い 骨折や靱帯の損傷が隠れていることがあります

もう1つ、時間の目安があります。2週間から1か月たっても軽くならない痛みは、一度みてもらったほうが早く終わります。原因が分からないまま自己流で対処を続けるほうが、結果的に長引きます。

すぐに受診が必要な痛みのサイン|様子を見てはいけないもの

次の症状があるときは、様子を見ないでください。
・尿が出ない、便や尿を我慢できない(腰の痛みとともに出た場合はとくに急ぎます)
・足に力が入らない・歩けない・つまずくようになった
・ボタンが留められない、箸が使えないなど手の細かい動作ができなくなった
・突然の激しい痛みで動けない
・胸の痛み・冷や汗・息苦しさをともなう肩の痛み

最後の1つは、肩の問題ではなく心臓の症状として出ていることがあります。冷や汗や息苦しさをともなう場合は、整形外科ではなく救急です。

腰痛で病院に行く目安|診療ガイドラインが挙げる危険信号

腰痛には、専門の学会がまとめた「危険信号(レッドフラッグ)」という考え方があります。これに当てはまる場合は、ただの腰痛として扱わないというものです。

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危険信号 なぜ挙げられているか
時間や動きに関係なく痛む 安静時痛・夜間痛は、腰そのもの以外の原因を考える手がかりになります
発熱がある 背骨の感染が起きていることがあります
体重が減っている・がんの治療を受けたことがある 背骨への転移が見つかることがあります
広い範囲のしびれや麻痺がある 神経が強く圧迫されている可能性があります
排尿・排便の障害がある 緊急性が高いサインとされています
転倒などのけがのあとに痛みが出た 高齢の方では背骨の圧迫骨折が起きていることがあります
胸のあたりも痛む 腰以外の原因を考える必要があります
1か月以上続いている 原因を確かめたほうが早く終わります

※日本整形外科学会・日本腰痛学会「腰痛診療ガイドライン」で挙げられている危険信号(レッドフラッグ)にもとづいて整理。該当しても重い病気とは限らず、逆に該当しなくても受診してかまいません。

肩こり・肩の痛みで病院に行く目安

肩こりは受診されにくい症状ですが、次の場合は整形外科で相談してください。

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こんなとき 考えられていること
手や指がしびれる・力が入らない 首の神経が関わっていることがあります
ボタンや箸など、細かい動作がしにくくなった 早めに相談したほうがよいサインとされています
腕が上がらない・夜中に肩の痛みで目が覚める 肩の関節や腱の問題が考えられます
片側だけ、じっとしていても痛む 使いすぎ以外の原因を考えます
頭痛・めまい・吐き気をともなう 首だけの問題ではないことがあります
胸の痛みや冷や汗をともなう左肩の痛み 心臓の症状として出ることがあります。急いでください

膝の痛みで病院に行く目安

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こんなとき 考えられていること
腫れて熱をもっている・赤くなっている 中で炎症が起きています。発熱をともなうなら急ぎます
体重をかけられない・歩けない 骨折や靱帯の損傷が隠れていることがあります
急に腫れた(ひねった・スポーツのあと) 中で出血していることがあります
途中で引っかかって伸びない・曲がらない 関節の中に原因があることがあります
水がたまるのを繰り返している 抜くだけでは戻ります。原因を調べる必要があります
急にがくっと力が抜ける 支えが利かなくなっているサインです

手首の痛み・しびれで病院に行く目安

手首は、痛みよりもしびれ方に手がかりがあります。

  • 夜間や明け方にしびれが強く、手を振ると楽になる:手首の中で神経が圧迫されているときの特徴とされています
  • 親指から薬指のあたりがしびれる:しびれる指の場所が手がかりになります
  • 親指の付け根のふくらみがやせてきた:進んだサインとされ、手術が必要になることがあります。放置しないでください
  • 親指側が腫れて、手首を動かすと痛む:腱の通り道の炎症が考えられます

「そのうち慣れる」がいちばん危ないのが、しびれです。痛みは我慢すれば済みますが、しびれや筋肉のやせは、放っておくと戻りにくくなることがあります。しびれが数週間続いているなら、それだけで受診の理由になります。

痛みで病院に行くなら何科?迷ったときの選び方

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状況 行き先
肩・腰・膝・手首の痛みやしびれ 整形外科。まずここで問題ありません
胸の痛み・冷や汗・息苦しさをともなう 救急。迷わず119番でかまいません
痛みに発熱や強いだるさをともなう 整形外科か内科。当日中に相談してください
どこに行けばいいか分からない かかりつけの内科へ。適切な科へ回してもらえます

整骨院・整体・マッサージは、原因を調べる場所ではありません。気持ちよさや一時的な軽さは得られますが、画像で中を見ることはできません。上に挙げたサインがあるときは、先に整形外科です。順番を逆にしないでください。

痛みの受診についてよくある質問

この程度で病院に行っていいのか迷います

行っていいです。「何ともなかった」で終わるのがいちばんいい結果です。医師の側も、それを確かめるのが仕事です。2週間から1か月たっても軽くならない痛みは、それだけで相談する理由になります。

湿布や市販薬でしのいでもいいですか?

受診の目安に当てはまらない痛みなら、まず試して構いません。ただし2週間ほど使っても変わらないなら、合っていないということです。同じ物を使い続けるより、一度みてもらうほうが早く終わります。

レントゲンで「異常なし」と言われましたが痛みます

レントゲンに写るのは主に骨です。筋肉・腱・靱帯・神経は写りません。痛みが続くなら、そのことを伝えてもう一度相談してください。必要に応じて別の検査を提案されることがあります。

何を伝えればいいか分かりません

次の4つをメモしていくと早く済みます。①いつから ②どんなときに痛むか(動かすと/じっとしていても/夜中に) ③しびれや力の入りにくさがあるか ④きっかけ(転んだ・重い物を持った・思い当たらない)。

痛みが軽くなったら、行かなくていいですか?

しびれや力の入りにくさが残っているなら、痛みが引いても相談してください。痛みは神経の問題が進むと、かえって感じにくくなることがあります。「痛くなくなった=治った」とは限りません。

まとめ|迷ったら行く、が最短ルート

  • 共通の目安は安静時の痛み・発熱・しびれ・体重減少・けがのあとの5つ
  • 排尿排便の障害、手足に力が入らない、胸の痛みをともなう肩の痛みは様子を見ない
  • 腰痛には学会がまとめた危険信号がある。当てはまるなら普通の腰痛として扱わない
  • しびれと筋肉のやせは放置すると戻りにくくなることがある
  • まず整形外科。整骨院やマッサージは原因を調べる場所ではない

受診してどこも悪くないと分かれば、そのあとは安心して対策に集中できます。調べることは、遠回りではなく近道です。

受診の目安に当てはまらない痛みへの対策

原因がはっきりして、日常の負担を減らす段階に入ったらこちらを読んでください。

転倒を防ぐ側の対策

痛みが出る前に、転ばないための備えもまとめています。