食事中にむせる。お茶を飲むと咳きこむ。前より、飲み込むのに時間がかかる。
先に、いちばん大事なことを書きます。むせるのは、
体が気管を守っている音です。
だから、こわいのは「むせること」ではありません。
むせずに入ってしまうほうです。
この記事では、今日から変えられる食べ方と、
どこに相談すればいいかを書きます。商品は紹介しません。
この記事は、飲み込みについて整理したものです。状態を診断するものではありません。
次のときは、食べ方を工夫する前に受診してください。熱が出ている・痰が増えた/食後にゼロゼロした音が続く/体重が減ってきた/食事に時間がかかるようになった/水を飲むと必ずむせる/声が食後にがらがらになる。
そして、のどに詰まって声が出せない・顔色が変わったときは救急です。119番。咳ができているうちは咳をさせてください。咳もできなくなったら、待たないでください。
むせるのはなぜ?飲み込みの仕組みから見る
のどは、食べ物の道と空気の道が交わる場所です。
飲み込む瞬間だけ、空気の道にふたがされます。
そのふたが閉まるタイミングが少しずれると、
食べ物や飲み物が気管のほうへ入りかけます。
そこで出るのが咳です。むせるというのは、
入りかけたものを押し返している音です。
だから、むせること自体は防御が働いている証拠です。
問題は、その反応が弱くなって、むせずに入ってしまう状態のほうです。
「最近むせなくなった」は、良くなったとは限りません。
むせる回数が減ったのに、熱が出る・痰が増える・食後にゼロゼロする。この組み合わせのときは、防御のほうが弱くなっている可能性があります。
これは自分では判断できません。かかりつけに、そのまま伝えてください。
何でむせるかで、見るところが変わる
→ 表は横にスクロールできます
| むせるもの | 起きていること | まず見るところ |
|---|---|---|
| 水・お茶・汁物 | さらさらしたものほど速く落ちる。ふたが閉まる前に流れ込む | ここがいちばん多い。姿勢と一口の量から |
| ごはん・パン | まとまりにくい・口の中に残る | よく噛めているか。入れ歯が合っているか |
| 粉っぽいもの(きな粉・ふりかけ) | 吸い込みやすい | 湿らせてから食べる |
| 自分の唾液(食べていないときもむせる) | 飲み込みの反射そのものが弱っている可能性 | 食べ方の工夫より、受診が先 |
| 薬(錠剤・カプセル) | のどに貼りつく | 薬剤師に相談すると形を変えられることがある |
4行目に心当たりがある場合は、この記事の工夫を試す前に受診してください。
食べていないのにむせる、寝ているときにむせて目が覚める。これは食べ方の話ではありません。
行き先は、耳鼻咽喉科か、かかりつけの先生に「飲み込みを診てもらえるところ」を聞くです。
今日から変えられる|食べ方と姿勢
- あごを少し引いて飲み込む:上を向くと、のどが一直線になって流れ込みます。
コップの底を上げるのではなく、コップの縁を斜めに切ったものを使うか、少なめに注いでください - 一口を小さくする:量が多いほど、飲み込みきれずに残ります。
残ったものが、次の呼吸で入りかけます - 食べながら話さない:しゃべるのは息を吐く動き、飲み込むのは息を止める動きです。
同時にできません - 足の裏を床につけて座る:足が浮いていると体が安定せず、姿勢が崩れます。
車いすや高い椅子のときほど効きます - 食後すぐに横にならない:30分は起きていてください。
戻ってきたものが入りやすくなります - 口の中をきれいにする:これは食べ方ではありませんが、いちばん大事です。
入ってしまうものが汚れているかどうかで、その後が変わります
とくに1つ目と6つ目です。
6つ目について、もう少し書きます。
飲み込みが弱くなると、少しずつ気管に入ることは避けきれません。
そのとき、口の中の状態が、そのまま入っていくものです。
歯みがきと、入れ歯の手入れは、飲み込みの対策の一部です。
とろみをつける前に、知っておくこと
「水でむせるなら、とろみをつければいい」と聞いたことがあるかもしれません。
ただし、濃さを自分で決めないでください。
とろみは、濃ければ安全というものではありません。
薄すぎれば速く流れますが、濃すぎればのどに残ります。
残ったものは、次の呼吸で入りかけます。
どのくらいの濃さが合うかは、人によって違います。
そして、飲み込みの様子を見た人でないと決められません。
→ 表は横にスクロールできます
| 聞きたいこと | 聞く先 |
|---|---|
| とろみが要るのか、要らないのか | 耳鼻咽喉科・リハビリテーション科/かかりつけの医師 |
| どのくらいの濃さにするか | 言語聴覚士(飲み込みのリハビリの専門職) |
| 食事の形(きざむ・やわらかくする)をどうするか | 管理栄養士/通っている病院の栄養相談 |
| 飲んでいる薬が飲みにくい | 薬剤師(かかりつけ薬局) |
| 入れ歯が合っていない気がする | 歯科(訪問歯科もあります) |
| どこに相談すればいいか分からない | 地域包括支援センター(市区町村の窓口で場所を聞けます) |
この表を作ったのは、「むせる」の相談先が分かりにくいからです。
内科でいいのか、耳鼻科なのか、歯医者なのか。迷って、そのままになるのがいちばんよくありません。
迷ったら、かかりつけの先生に「飲み込みでむせるのですが、どこで診てもらえますか」と聞いてください。それだけで、行き先が決まります。
いちばん気をつけること
むせたときに、水を飲ませないでください。
咳きこんでいる最中に飲み物をすすめるのは、よく見る光景ですが、水はいちばん速く流れるものです。咳が落ち着いてからにしてください。
そして、背中を強く叩かないでください。咳ができているなら、咳をさせるのがいちばん強い力です。叩くことで、かえって吸い込ませてしまうことがあります。
咳ができない・声が出せない・顔色が変わったときは、そこからは救急です。119番。その場合の背部叩打は、救急に電話しながら指示を受けてください。
むせることについて、よくある質問
時々むせるだけです。受診するほどですか
回数ではなく、組み合わせで見てください。
「時々むせる」だけなら、まず上の食べ方を試してよいです。
ただし、次と一緒に起きているなら受診です。熱がある/痰が増えた/体重が減った/食事に時間がかかるようになった/食べていないときもむせる。
「むせる」単体ではなく、この組み合わせが目印です。
とろみ剤を買ってもいいですか
買うこと自体は自由ですが、濃さを自分で決めないでください。
とろみは、濃ければ安全ではありません。濃すぎるとのどに残り、残ったものが入りかけます。
「その人にとってどのくらいが合うか」は、飲み込む様子を見た人でないと決められません。だから、この記事では商品として紹介していません。
先に、上の表の相談先で「要るのかどうか」から聞いてください。
のどを鍛える体操をすれば治りますか
助けになることはあります。ただし、自己流でやるものではありません。
飲み込みのリハビリは、どこが弱っているかで内容が変わります。合っていない体操は、疲れるだけで効きません。
言語聴覚士がいる病院や施設で、自分に合うものを教えてもらってください。それが分かれば、家で続けられます。
家族がむせています。何をすればいいですか
まず、食べ方より先に「口の中」と「姿勢」です。
食事のとき、足の裏が床についているか。あごが上がっていないか。テレビを見ながらになっていないか。
そして、歯みがきと入れ歯の手入れです。これは飲み込みそのものは変えませんが、入ってしまったときの中身を変えます。
熱が出た・痰が増えた・元気がなくなったときは、「食欲がないだけ」と思わずに受診してください。
まとめ|むせるのは、体が守っている音
- こわいのはむせることではなく、むせずに入ってしまうほうです
- あごを引く・一口を小さく・食べながら話さない。今日から変えられるのはここです
- とろみの濃さは、自分で決めないでください。合わない濃さは、のどに残ります
- 口の中をきれいにすることは、飲み込みの対策の一部です
熱・痰・体重の減りが一緒にあるときは、食べ方の工夫より受診が先です。
どこに行けばいいか分からないときは、かかりつけの先生に
「飲み込みを診てもらえるところ」を聞いてください。
のどと口のことで、ほかに気になる場合
- 口が乾く|まず確認したいのは薬と、目も乾いていないか
口が乾く場合はこちらです - 部屋が乾燥してのどが痛い|暖房で湿度が24%まで落ちる仕組み
部屋が乾燥してのどが痛い場合はこちらです - 医療費・薬代がかさむ|減らすのは、受診ではなく無駄
医療費・薬代がかさむ場合はこちらです - 声がかすれる|2〜3週間続いたら原因を自分で決めない
声がかすれる場合はこちらです
