肩がこる。胃が痛い。眠れない。目が疲れる。おなかの調子が悪い。

それぞれ別の不調として、別々に対処していないでしょうか。1つならそれで合っています。ただし——同じ時期に3つ以上そろっているなら、共通の原因を疑う場面です。

ストレスは、心より先に体に出ます。

この記事は一般的な情報の整理であって、診断ではありません。当てはまるからといって病気と決まるわけではありません。逆に、当てはまらなくてもつらいなら相談していいものです。我慢の量で相談の資格が決まるわけではありません。

ストレスのサインは3つに分かれて出る|心・体・行動

厚生労働省のサイトでは、ストレス反応が次の3つに分けて説明されています。

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出る場所 挙げられているサイン
心理面 活気の低下・イライラ・不安・抑うつ(気分の落ち込み、興味や関心の低下)
身体面 体のふしぶしの痛み・頭痛・肩こり・腰痛・目の疲れ・動悸や息切れ・胃痛・食欲低下・便秘や下痢・不眠
行動面 飲酒量や喫煙量の増加・仕事でのミスや事故・ヒヤリハットの増加

※厚生労働省のポータルサイト「こころの耳」で挙げられているストレス反応の分類と症状にもとづく。

身体面のリストを、もう一度見てください。

頭痛・肩こり・腰痛・目の疲れ・胃痛・便秘や下痢・不眠——どれも「体の悩み」として単独で扱われるものばかりです。だから読者はそれぞれを別の問題として、別々の方法で対処します。

それ自体は間違いではありません。ただ元が1つなら、個別に手を打っても戻ります。

なぜストレスは心より先に体に出るのか

順番の問題というより、気づき方の問題です。

心理面のサインは、自分で打ち消せてしまいます。

  • イライラする → 「自分が短気なだけ」
  • やる気が出ない → 「怠けているだけ」
  • 不安がある → 「気にしすぎ」

全部、性格の話に変換できてしまう。だから記録に残りません。

ところが体の症状は打ち消せません。胃が痛いのは痛い。眠れないのは眠れない。否定できないから、体のサインのほうが先に見つかります。

「気のせい」で片づけられないものから先に見つかる。だから体の不調が続いているとき、「体が弱いから」ではなく「何が続いているか」を先に見てください。体は、言葉にできていないことを代わりに出しています。

3つ以上が同じ時期に出ていたら疑う|判断のライン

どこで線を引くか。目安はシンプルです。

  • 1つだけ:その症状の問題として対処して構いません。肩こりなら姿勢、便秘なら水分と姿勢
  • 3つ以上が同じ時期に出ている:共通の原因を疑う場面です

次のうち、ここ1か月で当てはまるものを数えてみてください。

  1. 肩や首のこりが強くなった
  2. 頭痛が増えた
  3. 胃が痛い・胃が重い
  4. 便秘や下痢が続く
  5. 寝つけない・途中で目が覚める
  6. 食欲が落ちた、または増えた
  7. 動悸や息切れがある
  8. 目が疲れる
  9. 疲れが休んでも取れない

3つ以上なら、個別の対処と同時に「何が続いているか」を見てください。道具や市販薬で1つずつ潰しても、元が動かなければ順番に戻ってきます。

行動面のサインは自分では気づきにくい

3つのうち、いちばん自覚しにくいのが行動面です。挙げられているのは次のようなものでした。

  • 飲酒量・喫煙量が増えた
  • 仕事でのミスや事故が増えた
  • ヒヤリハットが増えた

どれも、その場では別の理由がつきます。「今日は付き合いだった」「たまたま忙しかった」。1回ごとに理由があるので、増えていること自体に気づけません。

この3つは周りのほうが先に気づく種類のサインです。「最近ミスが多いね」と言われたら、指摘そのものより、そう見えている状態が続いていることを情報として受け取ってください。

ストレスのサインが出たときにやること|順番

① 個別の対処はやめない

「元がストレスだから」と痛みや不眠を放置しないでください。つらい症状はつらいので、そこは普通に対処します。ただし、それだけで終わらせないという話です。

② 睡眠を最優先にする

3つのうち、他に最も影響するのが睡眠です。眠れていないと、痛みも感じやすくなり、判断も鈍ります。削るものを探すとき、睡眠だけは削らないと決めてください。

③ 減らす対象を1つだけ決める

ストレスの原因を全部なくすことはできません。「今いちばん重いものを1つだけ、2割減らす」と決めるほうが動けます。

会う回数を減らす、引き受けるのをやめる、通知を切る——何でも構いません。減らす方向だけ決めます。

④ 2週間続いたら相談する

厚生労働省のサイトでも、症状の程度が重い場合や長期間続く場合は、精神科・心療内科に相談することがすすめられています。

期間の目安を持っておくと迷いません。2週間、同じ状態が続いているなら相談する——そう決めておけば、そのときの気分で判断しなくて済みます。

ストレスの不調をどこに相談すればいいか

→ 表は横にスクロールできます

状況 相談先
体の症状がはっきりしている(胃痛・不眠など) かかりつけの内科。体の原因を先に確認できます
気分の落ち込みや不安が2週間以上続く 心療内科・精神科
仕事が関係している 職場の産業医・保健師。人事に伝わらない形で相談できる場合があります
どこに相談するか分からない 厚生労働省のポータルサイト「こころの耳」に、働く人向けの相談窓口の案内があります

相談は「治す」ためだけのものではありません。今の状態を言葉にして、外から見てもらうこと自体に意味があります。何ともなければ、それが分かるだけで軽くなります。受診したからといって、必ず薬が出るわけでもありません。

ストレスのサインについて、よくある質問

自分ではストレスを感じていません。それでも体に出ますか?

出ます。むしろ、自覚がないときのほうが気づくのが遅れます。心理面のサインは「性格」や「気のせい」に変換されやすいためです。自覚の有無ではなく、症状がいくつ同時に出ているかで見てください。

病院に行っても「異常なし」と言われました

体に原因がないと分かったこと自体が、大事な情報です。そのうえで症状が続くなら、そのことを伝えて相談を続けてください。「異常なし=気のせい」ではありません。症状は実際に出ています。

休めば治りますか?

短期間の疲れなら休養で戻りますが、原因が続いている場合は戻ります。休むことは必要ですが、それだけだと同じ状態を繰り返します。休養と同時に、減らす対象を1つ決めるところまでやってください。

心療内科に行くほどではない気がします

「行くほどでもない」と思う段階で行くのが、いちばん軽く済みます。医療機関は限界まで我慢した人だけが行く場所ではありません。2週間続いているかどうかを基準にすると、気分で判断せずに済みます。

周りに「ミスが増えた」と言われました

指摘の内容より、そう見える状態が続いていることのほうが情報です。ミスやヒヤリハットの増加は、ストレス反応として挙げられているサインの1つです。自分では気づきにくい種類なので、外からの指摘は貴重な手がかりになります。

決まった場面のあとに出るなら、そこを軸にしたほうが早いことがあります。

まとめ|1つなら症状、3つ以上なら原因を見る

  • ストレスは心理面・身体面・行動面の3つに分かれて出る
  • 身体面のサインは頭痛・肩こり・腰痛・胃痛・便秘や下痢・不眠など。単独の悩みとして扱われがち
  • 心より先に体に出るのは、心のサインが「性格」に変換されて記録に残らないから
  • 1つなら個別対処でよい。3つ以上が同時期なら共通の原因を疑う
  • 行動面(飲酒・ミスの増加)は周りのほうが先に気づく
  • 2週間続いたら相談すると決めておく

体は、言葉にできていないことを代わりに出しています。数が増えてきたら、症状ではなく元のほうを見てください。

症状別の対策

個別の症状への対処は、それぞれこちらにまとめています。並行してやって構いません。