「8時間寝ないと体に悪い」——よく聞く話です。でも国が出している最新の目安は、そうは書いていません。

成人は6時間以上。そして高齢者には「長く寝すぎないように」と書かれています。

この記事では年代別の目安と、時間より大事だとされている指標を整理します。

睡眠時間は何時間必要?年代別の目安

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年代 目安 書かれ方
成人 6時間以上 6時間以上を目安として、必要な睡眠時間を確保する
小学生 9〜12時間 9〜12時間の睡眠を確保する
中学生・高校生 8〜10時間 8〜10時間の睡眠を確保する
高齢者 布団にいる時間を8時間未満に 床上時間が8時間以上にならないことを目安にする

※厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年2月公表・2014年の睡眠指針を改定)にもとづく。

注目してほしいのは、成人には上限が書かれていない一方で、高齢者には「長くならないように」と上限のほうが書かれている点です。ここに、よくある思い込みとのずれがあります。

「8時間寝ないとダメ」は思い込み|必要な時間は人によって違う

目安は6時間以上であって、全員が8時間必要という話ではありません。

ガイドにも、適切な睡眠時間には個人差があること、そして日中の眠気や睡眠で休養が取れた感覚をもとに、自分に必要な時間を見つけることが書かれています。

ちなみに日本人の実態はこうです。

  • 1日の平均睡眠時間が6時間未満の人:男性37.5%・女性40.6%

およそ4割が目安を下回っています。多数派だからといって問題がないわけではありませんが、「自分だけが足りていない」と思う必要もありません。

※厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年2月公表・2014年の睡眠指針を改定)にもとづく。

「8時間寝なければ」という思い込みが、かえって眠りを妨げることがあります。眠くないのに早く布団に入る → 眠れない時間が長くなる → 布団が「眠れない場所」として体に覚え込まれる。この流れです。時間を目標にするより、眠くなってから入るほうが結果的に眠れます。

高齢者は長く寝るほうが良くない|床上時間という考え方

ガイドが高齢者について挙げているのは、睡眠時間の長短ではなく床上時間——つまり布団やベッドの上にいる時間です。

これが長すぎると健康上のリスクが高まるとされ、8時間以上にならないことが目安に挙げられています。

年齢が上がると、必要な睡眠時間そのものが短くなります。それなのに「早く床につく」習慣だけが残ると、こうなります。

  • 20時に布団に入る → 眠れないまま2時間過ごす
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 朝4時に完全に目が覚めてしまう
  • 「早く目が覚めるから」とさらに早く床につく

床にいる時間を短くするほうが、眠りは深くなります。眠くなるまで布団に入らない、というのが対策です。

睡眠時間より大事な「睡眠休養感」|足りているかの判断基準

ガイドが重視しているのが睡眠休養感という考え方です。「睡眠で休養が取れている感覚」のことで、これが低下すると代謝の機能や心の健康に悪い影響があるとされています。

つまり——何時間寝たかより、休まった感じがあるかどうか。

自分で確かめる目安は2つです。

  • 朝起きたときに「休めた」という感じがあるか
  • 日中に強い眠気がないか

7時間寝ていても休まった感じがなく日中眠いなら、量ではなく質の問題です。逆に6時間でも休養感があって日中眠くないなら、その人にはそれで足りています。

※厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年2月公表・2014年の睡眠指針を改定)にもとづく。

自分に必要な睡眠時間の見つけ方|3ステップ

  1. 休日に目覚ましなしで寝てみる。ただし1日では平日の不足を取り返しているだけなので、数日続けて、落ち着いてきた時間を見ます
  2. 平日の就寝時刻を15分ずつ早める。起床時刻は変えません。仕事の都合で動かせないのは起きる時刻のほうだからです
  3. 日中の眠気が消える地点を探す。そこが自分の必要量です。それ以上増やしても、休養感は上がりません

やってはいけないのは、眠れないのに布団にいる時間だけ延ばすことです。増えるのは睡眠ではなく、眠れずに過ごす時間のほうです。15分早めても寝つけないなら、そこが今の限界。戻して構いません。

睡眠ガイドが挙げるそのほかの目安|運動・カフェイン・朝の光

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項目 目安
運動 1日60分程度の有酸素運動が理想とされています
カフェイン 1日400mgが上限の目安。コーヒーおよそ4杯分です
朝の光 起床後に光を浴びることで、睡眠と目覚めのリズムが整います

※厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年2月公表・2014年の睡眠指針を改定)にもとづく。

カフェインは量だけでなく時刻も関係します。体に残る時間が長いので、夕方以降の1杯が夜に効いていることがあります。量が上限内でも、時間帯を後ろにずらしていないか見てください。

睡眠時間について、よくある質問

6時間しか寝ていませんが大丈夫ですか?

日中に強い眠気がなく、朝に休めた感じがあるなら、その人には足りています。目安は6時間以上なので、6時間は下限にかかっている状態です。日中に眠くなるなら、増やす余地があります。

寝だめはできますか?

不足を後からまとめて返すことはできません。休日に長く寝ると一時的に楽になりますが、起きる時刻が大きくずれると、体のリズムが崩れて月曜がつらくなります。休日の起床は、平日との差を2時間以内にとどめるのが現実的です。

年をとってから早く目が覚めます。異常でしょうか?

年齢とともに必要な睡眠時間は短くなります。早く目が覚めること自体はよくあることです。問題になりやすいのは、そのぶん早く床につこうとして布団にいる時間が長くなることのほうです。

昼寝はしてもいいですか?

短ければ問題ありません。長く寝たり夕方に寝たりすると、夜の眠りに影響します。午後の早い時間に、短時間で切り上げるのが基本です。毎日長い昼寝が必要なほど眠いなら、夜の睡眠のほうに原因があります。

十分寝ているのに日中眠いです

時間ではなく質の問題か、別の原因が考えられます。いびきや途中で目が覚めることが多いなら、眠りが分断されている可能性があります。睡眠時間を確保しても日中の眠気が続くなら、医療機関で相談してください。

まとめ|時間を目標にせず、休養感で判断する

  • 成人の目安は6時間以上。8時間は全員に必要な数字ではない
  • 高齢者は布団にいる時間を8時間未満に。長く寝るほうが良いわけではない
  • 大事なのは睡眠休養感=休めた感じがあるか、日中に眠くないか
  • 必要量は就寝を15分ずつ早めて探す。起床時刻は動かさない
  • 眠れないのに布団にいる時間を延ばさない

時間は目標ではなく結果です。休養感を基準にすると、自分に必要な時間が見えてきます。

眠れない・眠りが浅いときの対策

時間は確保できているのに休まらない場合は、質のほうに原因があります。