浴槽をまたぐのが怖い。入るのはできても、出るときに立ち上がれない。

先に、いちばん大事なことを書きます。
立ち上がれないなら、お湯を抜いてから立ってください。

お湯の中では体が浮くので、足に体重が乗りません。
つまり、踏ん張れない状態で立とうとしていることになります。

この記事では、今日から変えられる入り方と、
リフォームをしなくても足せる道具を書きます。

この記事は、浴室での動き方と道具の話です。体の状態を診断するものではありません。

次のときは、道具より先に相談してください。湯船で意識が遠のいたことがある/入浴中や直後に胸が苦しくなった/立ち上がったときに目の前が暗くなる/足に力が入らない日がある/一人で入るのが不安になってきた。

そして、飲酒のあとの入浴はやめてください。ふらつきと、のぼせが重なります。

先に|立ち上がり方には、国の注意がある

浴槽から立てないのは、力の問題だけではありません。消費者庁が、この場面について注意を出しています

厚生労働省の人口動態調査によると、高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は高い水準で推移しており、近年では「交通事故」による死亡者数よりも多くなっています。

発生場所は家や居住施設の浴槽が多く、11月から4月の冬季を中心に多く発生しているとされています。

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消費者庁が挙げる、安全に入浴するための5点
①入浴前に脱衣所や浴室を暖める
②湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安に
③浴槽から急に立ち上がらない
④食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避ける
⑤入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらう

※消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」2020年11月19日公表(2026年9月2日 閲覧)

3つめが、この記事の中心です

浴槽から急に立ち上がらない。お湯を抜いてから立つのは、ゆっくり立つための手順でもあります。

手すりや台は、その手順を成立させるための道具です

立てないことより、危ないことがある

5点のうち、道具が要らないものが3つあります。今日から変えられるのはそちらです

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やること なぜ
湯温を41度以下にする 国が挙げている目安。10分までが合わせて示されている
食後すぐ・飲酒後・服薬後は入らない 同じく5点に挙げられている
入る前に家族へ一声かける 意識してもらうことが挙げられている

一声かけるだけ、というのは軽く見えます

ただし浴室での事故は、気づかれるまでの時間が結果を分けます。

5点のうち、これがいちばん費用がかかりません

浴槽が使いにくくなるのはなぜ?考えられる4つの原因

原因① 浴槽の縁が、思っているより高い

日本の家の浴槽は、深いものが多いです。

床から縁までの高さがあると、
またぐときに片足を高く上げて、その間、片足で立つことになります。

つまり、またぐ動作は「片足立ち」を含みます。
濡れた床で、裸で、つかまる所がない状態でです。
ここが、浴室でいちばん危ない瞬間です。

原因② 浴槽の底は、思っているより滑る

お湯は、体の脂を溶かします。
その脂が浴槽の底にうっすら残り、そこにお湯が乗ります。

洗い場より、浴槽の中のほうが滑ることがあります。
そして、滑ったときに手をつく場所がありません。

原因③ 立ち上がるとき、つかむ所がない

ここで、やってはいけないことを先に書きます。

タオル掛け、洗い場の棚、シャワーのフック、浴室のドアの縁。
これらを手すり代わりにつかまないでください。

どれも、体重をかけるために付いていません。
外れたときに、外れた勢いのまま転びます。
「今までは大丈夫だった」は、根拠になりません。

原因④ お湯の中では、足に体重が乗らない

体は、お湯の中で浮きます。
浮いているということは、足の裏にかかる重さが減っているということです。

立ち上がるには、足の裏で床を押す必要があります。
押す力が足りないと、腕で引き上げることになります。

だから、お湯を抜いてから立つ。それだけで変わります。
これは0円で、今日からできます。

原因は1つとは限りません。

「深い浴槽(①)の、滑る底で(②)、つかむ所がないまま(③)、お湯に浮いた状態で(④)立とうとしている」。

④だけは、今日ただで直せます。そこからです。

入浴の対策|お金をかけずにできること

  • 立ち上がる前に、お湯を抜く:栓を抜いて、少し待ってから立つ。
    足に体重が乗るようになります。今日から0円でできて、いちばん効きます
  • またぐときは、浴槽の縁に腰かけてから足を入れる:立ったままの片足立ちを避けられます。
    縁に座って、両足を入れて、それから沈む。順番を変えるだけです
  • 湯量を減らす:肩まで浸かると、浮力も強くなります。
    みぞおちくらいまでにすると、立ち上がりやすくなります
  • お湯の温度を下げる:熱いほど、のぼせて立ちくらみが起きます。
    ぬるめで長めのほうが、体には楽です
  • 入る前に、家族に声をかける:一人で入る場合は、
    入る時間だけ伝えておいてください。何かあったときに、気づかれるまでの時間が変わります

とくに1つ目です。
「立ち上がれない」の正体が浮力なら、これで解決します。
道具を買う前に、今夜これを試してください。

【比較】浴槽で使う道具3選

どこでつまずいているかで、選ぶものが変わります。
またぐのが怖いなら手すり、中で滑るならマット、
深くて出られないなら台です。

またぐのが怖い人におすすめ|浴槽の縁につける手すり

入浴用手すり 取付け幅8cm以下タイプ お風呂 浴槽 立ち上がり 補助

入浴用手すり 取付け幅8cm以下タイプ お風呂 浴槽 立ち上がり 補助

浴槽の縁をはさんで固定する、握るための取っ手です。工事は要りません。

  • またぐときの片足立ちを、手で支えられるようになります
  • 浴槽の縁の厚みに合う製品を選んでください。ここが合わないと付きません
  • 取り外せるので、掃除のときや来客のときにどけられます
価格 約5,980円
何をするか またぐときと立つときの支えになる
向いている人 またぐのが怖い人・つかむ所がない浴室
楽天レビュー ★4.59(86件)

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レビューに、この道具を選ぶ理由が出ていました。

「浴槽に装着したままお風呂のフタができて、それほど大きくなくとも十分に支えになり、浴室での圧迫感もなくこの商品を選んで良かった」。

ふたが閉まるかどうかは、意外と大事です。毎日つけ外しするなら、続きません。

「自分の親用に購入し、使い心地がよく、嫁の親用に2個目を買いました」という声もありました。買っているのは本人ではなく、家族であることが多い道具です。

中で滑る人におすすめ|浴槽内の滑り止めマット

最大 浴槽滑り止めマット お風呂 浴槽 滑り止め お風呂マット

最大 浴槽滑り止めマット お風呂 浴槽 滑り止め お風呂マット

浴槽の底に敷いて、足が滑るのを止めるマットです。

  • 洗い場用ではなく「浴槽内用」を選んでください。形と吸盤が違います
  • 浴槽の底がザラザラしていると、吸盤が効きません。先に触って確かめてください
  • 使ったあとは立てて乾かしてください。敷きっぱなしはぬめりの元です
価格 約1,790円
何をするか 浴槽の底で足を止める
向いている人 中で滑る人・立ち上がるときに足がずれる人
楽天レビュー ★4.5(248件)

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レビューに、はっきりした報告がありました。

「83歳の母のために購入しました。浴槽の底にピッタリとくっついて、立ち上がりをしっかり補助してくれた様です」。

そして、買う前に確かめるべきことも書かれていました。吸盤で貼り付く物なので、浴槽の底がつるつるでないと効きません。最近の浴槽は、底に滑り止めの凹凸が付いていることがあります。

今夜、浴槽の底を手で触ってください。ざらついているなら、吸盤式ではないものを探すほうが早いです。

浴槽が深くて出られない人におすすめ|浴槽台

浴槽台 3段階 高さ調整 浴槽 椅子 風呂

浴槽台 3段階 高さ調整 浴槽 椅子 風呂

浴槽の中に置く踏み台です。段差を2段にして、出入りを楽にします。

  • 高さを変えられるものを選んでください。浴槽の深さは家ごとに違います
  • 座面として使えば、浴槽の中で腰かけた姿勢になれます
  • これも吸盤で止まるものが多いので、浴槽の底を確かめてください
価格 約5,280円
何をするか 浴槽の深さを、実質的に浅くする
向いている人 昔ながらの深い浴槽・またぐ高さが足りない人
楽天レビュー ★4.34(192件)

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この商品のレビューに、いちばん大事なことが書いてありました。

「浴槽リフォームが高額すぎて断念した70代高齢父のために買いました」。

つまり、これはリフォームの代わりに選ばれている道具です。「浴槽から出るのが楽になった」「丈夫で壊れる心配なさそう」。

そして、不満はほぼ全部「吸盤が効かない」に集中しています。「使用している浴槽の底には滑り止めに少しざらつきがあるので、浴槽台の吸盤がほとんど機能せず浴槽内に置いたとき浮いてしまう」。

買う前に、浴槽の底を手で触る。これだけで、失敗のほとんどは避けられます。

3つを比較|価格とどこに効くかの早見表

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道具 価格の目安 どの場面に効くか 対応する原因 買う前に確かめること
浴槽手すり 約5,980円 またぐとき・立つとき ①高さ/③つかむ所 浴槽の縁の厚み
滑り止めマット 約1,790円 浴槽の中で滑る ②滑り 浴槽の底がつるつるか
浴槽台 約5,280円 深くて出られない ①高さ 浴槽の深さと、底のざらつき

まず1つなら、浴槽手すりです。

またぐ瞬間が、浴室でいちばん危ない場面だからです。そして、つかむ所ができると、立ち上がるときにも使えます。

ただ、その前に「お湯を抜いてから立つ」を試してください。それで立てるなら、原因は浮力だったので、道具はもっと安いもので足ります。

浴室の道具の口コミ|効いた場合と合わなかった場合

使っている人の声を調べました(楽天のレビュー 526件を確認)。

満足している点

  • 「浴槽から出るのが楽になった」という報告(複数)
  • 「浴槽の底にピッタリとくっついて、立ち上がりを補助してくれた」という声
  • 「装着したままお風呂のフタができる」という評価
  • 「取り付けも簡単でとてもよかった」という声

気になるという声

  • 「吸盤のつきが弱い」という指摘(複数・浴槽台とマットの両方)
  • 「浴槽の底にざらつきがあるので吸盤が機能しない」という具体的な報告
  • 「手すりが無い状態でステップとして使うのは躊躇する」という慎重な声
  • 「付属チェーンが吸盤下に潜り込む場合がある」という声

ここから言えること

この3つの商品の低評価は、ほぼ全部が「吸盤」に集中しています。そして、原因もはっきりしています。浴槽の底がざらついていると、吸盤は貼り付きません。

これは商品の欠陥ではなく、浴槽との相性です。だから、今夜おふろに入るときに、浴槽の底を手で触ってみてください。

もうひとつ。「浴槽台だけで、手すりなしで使うのは不安」という声がありました。段差を作るだけでは、支える所がありません。深い浴槽なら、台と手すりはセットで考えてください。

浴槽の出入りについて、よくある質問

タオル掛けにつかまるのは危ないですか

危ないです。つかまないでください。

タオル掛け、洗い場の棚、シャワーのフック、ドアの縁。どれも、人の体重を支えるために付いているものではありません。

外れたときに問題なのは、転ぶことだけではありません。外れた物の角に体をぶつけます。「今までは大丈夫だった」は、まだ壊れていないという意味しかありません。

リフォームしたほうがいいですか

それが確実ですが、金額が大きく、判断も家ごとに違います。

この記事では金額を書きません。浴室の形と工事の内容で、大きく変わるからです。

相談先だけ書いておきます。介護保険には、手すりの取り付けなどに使える住宅改修の仕組みがあります。使えるかどうか、いくらになるかは、市区町村の窓口か地域包括支援センターで聞いてください。先に工事をしてしまうと対象にならないことがあるので、順番として相談が先です。

シャワーだけで済ませてもいいですか

危ないと感じているなら、無理に浸からなくて構いません。

ただ、冬は浴室が冷えるので、シャワーだけだと体が温まらないまま出ることになります。脱衣所と浴室を温めてから入ってください。

浴槽に浸かるのをやめる判断は、道具で解決できるかを試してからでも遅くありません。

家族が一人で入るのが心配です

入る時間を伝えてもらう。これだけで、気づくまでの時間が変わります。

そして、鍵をかけないでもらってください。何かあったときに、開けるところから始まると遅くなります。

湯温は少しぬるめに、湯量は少なめに。これは本人に何も要求せず、設定を変えるだけでできます。

お湯の温度は何度がいいですか?

消費者庁は、安全に入浴するための注意として湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安とすることを挙げています。あわせて、浴槽から急に立ち上がらないこと、食後すぐ・飲酒後・医薬品服用後の入浴を避けること、入浴前に脱衣所や浴室を暖めること、同居者に一声掛けることが挙げられています。

立ち上がりにくいだけで、危険というほどですか?

消費者庁によると、厚生労働省の人口動態調査で高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は近年では「交通事故」による死亡者数よりも多くなっています。家や居住施設の浴槽での事故が多く、11月から4月の冬季を中心に多く発生しているとされています。立ち上がりにくさは、その場面の一部です。

まとめ|立ち上がれないのは、浮いているからかもしれない

  • 立ち上がる前にお湯を抜いてください。足に体重が乗るようになります
  • またぐときは、縁に腰かけてから足を入れてください。片足立ちを避けられます
  • タオル掛けや棚を手すり代わりにつかまないでください。外れます
  • 吸盤式の道具を買う前に、浴槽の底がつるつるかを手で触って確かめてください

湯船で意識が遠のいたことがある・入浴中に胸が苦しくなったことがある場合は、
道具の前に相談してください。
そして、飲酒のあとの入浴はやめてください。

浴室と足もとで、ほかに気になる場合